特集 高齢社会の看取りのサイエンスとアート
終末期の意思決定をどのように行うか?
佐藤 由佳
1
,
浅井 篤
1
1熊本大学大学院医学薬学研究部生命倫理学分野
キーワード:
判断能力
,
代行判断
,
事前指示
,
推定意思
,
QOL
,
患者の最善の利益
Keyword:
判断能力
,
代行判断
,
事前指示
,
推定意思
,
QOL
,
患者の最善の利益
pp.648-652
発行日 2008年8月15日
Published Date 2008/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414101479
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Case
脳梗塞の後遺症として判断能力の喪失がみられる高齢患者
患者:86歳の男性.
食堂を経営していたが,2年前に左脳梗塞を発症し,それ以来入院している.現在,脳梗塞の後遺症として,右半身の完全麻痺,失語,意識障害(Japan Coma Scale[JCS]Ⅱ-20),判断能力の喪失がみられ,ほぼ全介助状態である.自力で経口摂取をすることはないが,口元に食べ物を持っていけばゆっくり飲み込むことができる.しかし最近の1カ月,嚥下障害が生じ,よくむせるようになった.30年前に胃部分切除をしているため,胃瘻造設は困難な状態である.過去半年間で2回肺炎になり,今後も誤嚥による肺炎の危険性から経鼻チューブによる人工栄養の必要性が検討されている.医師は患者の家族を集めて人工栄養の必要性について説明するが,家族間の意見は一致せず,どうすべきか結論が出ていない.
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