The Japanese Journal of Physical Therapy and Occupational Therapy
Volume 22, Issue 10
(October 1988)
Japanese
English
特集 家庭復帰に必要な条件
家庭復帰に必要な条件と受け皿として備えるべき条件―地域リハに携わるリハ・スタッフの立場から
Prerequisites for Discharge to the Home; A View of Those Who Work for Community Rehabilitation
宮岡 秀子
1
,
浜村 明徳
1
Hideko MIYAOKA
1
,
Akinori HAMAMURA
1
1国立療養所長崎病院
1National Sanatorium Nagasaki Hospital.
pp.648-653
発行日 1988年10月15日
Published Date 1988/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518104112
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Ⅰ.初めに
「寝たきりを作らないために」を活動の目標にした組織的な地域リハビリテーション(以下リハと略す.)活動が開始され10余年を経過しようとしている.われわれはこの間,病院のリハ・スタッフとして円満な家庭復帰を目指す立場と,それを受ける地域リハ・スタッフの一員としてその家庭生活を継続させる立場の両者の役割を微力ながら担ってきた.
地域では,例えば,夫婦とも痴呆や精神疾患でポータブルトイレに排泄物を溜め,腐りかけた食べ物を食べていても援助するものがいないなどリハ以前の生活基盤に問題を抱えるケース,何十万円もする医療機械や何万円もする市販の薬を枕元に並べ毎日寝ている者など基本的な地域医療が実施されていないケース,テレビを相手に一日中寝て過ごしている者,歩くことができても何年も外出したことが無い者など在宅ケアの未熟さを反映するケースなど,おのおのの地域が抱える多様な現実にたびたび出会う.
このような地域医療や保健・福祉が抱えている問題,さらにはリハ医療の実状など目を背けては通れない現実を体験しつつ,在宅障害者の抱えるさまざまな問題に対応してきた.そして,地域へ送る側と受ける側との狭間で,微妙に揺れ動き葛藤を繰り返しながら,あるいは互いに触発し合いながら現在に至っている.
今回は,過去3年間の地域活動中,訪問指導を行った117名の対象者が抱える問題点を分析し,この間の経験も加え,在宅障害老人(者)の抱える問題や彼らを支える側の問題について検討した.それらのことを踏まえながら,地域へ送る側の医療スタッフとして家庭復帰させるために必要と思われる事柄(条件)について整理したい.
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