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研究と報告
末梢性顔面神経麻痺の予後推定―MMTとS-Dカーブの果たす役割
Predicting Recovery of Facial Nerve Palsy: Role of Manual Muscle Testing and of the Strength-Duration Curve
前田 哲男
1
,
若山 佐一
2
Tetsuo MAEDA
1
,
Saichi WAKAYAMA
2
1鹿児島大学医療技術短期大学部
2東京大学医学部附属病院リハビリテーション部
1Kagoshima University School of Allied Medical Sciences.
2Central Rehabilitation Service University of Tokyo Hospital.
pp.469-474
発行日 1988年7月15日
Published Date 1988/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518104066
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Ⅰ.初めに
Bell麻痺やHunt症候群による末梢性顔面神経麻痺の予後は二つに大別でき,一つは発症後3週前後以内に回復が開始し,約3か月以内に完治またはほぼ完治する群で,もう一つは発症後3か月前後で回復が開始するが一定の後遺症を残し不全治癒となる群である1,2).
この予後を早期に推定可能であれば治療方針の決定,患者の社会経済生活へのアドバイスや心理的援助などが的確に行えるため,現在種々の方法で予後推定が行われている.小池ら3)によると発症から電気的診断法の診断価値が生ずるまでの期間は,神経興奮性検査(nerve excitability test;NET),最大刺激検査(maximal stimulation test;MST),誘発筋電図(evoked EMG)では3日,強さ-時間曲線(strengh-duration curve;S-D curve)では8日,筋電図のFibrillation電位では8~12日とのことである.しかし,どの一つをとっても100%の信頼度を有するものは無く,一般には複数の検査法により予後診断することが勧められる,と述べている.
われわれは徒手筋力検査(以下,MMTと略.)と強さ時間曲線(以下S-Dカーブと略.)とを用いて1979年1月から末梢性顔面神経麻痺の予後推定を行っている.今回,約7年間の成績をまとめ,末梢性顔面神経麻痺の予後推定におけるMMTとS-Dカーブの果たすことが可能な役割を検討した.
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