Japanese
English
特集 Parkinson病
Parkinson病の作業療法―臨床の視点から
Parkinson's Disease: Occupational Therapy in Parkinson's Disease: From a Clinical Point of View
市川 和子
1
Kazuko ICHIKAWA
1
1東京都立神経病院リハビリテーション科
1Tokyo Metropolitan Neurological Hospital Rehabilitation Department.
pp.296-301
発行日 1988年5月15日
Published Date 1988/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518104019
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
Ⅰ.初めに
我が国において,人口10万人当たり50人前後の有病率であるという1),Parkinson病は神経疾患および変性疾患の中ではとても多い疾病である.筆者も神経内科を中心とした入院・専門病院に勤務してからは常時1~2名のParkinson病患者を担当してきている.
Parkinson病の日常生活動作(以下ADLと言う)障害像の印象として,すくみ足や方向転換の困難,寝返りや起き上がりなどの際の体幹の回旋の困難などにより,必ずしも作業療法の対象になりにくいと思われることがある.何故ならば,ボタンはめや更衣の障害よりも起居移動動作の障害のほうが重大であると考えられるからであり,事実そうである.しかし,Parkinson病ではそれらのADLの障害に加えて身体的不定愁訴が前面に出ることの多い抑うつ症状2),記銘力や動作性IQ低下などの傾向のある知的問題がしばしば認められる.ADLおよび身体機能に,これら精神心理的障害が影響を及ぼしていることがある.
本稿ではこれらの精神心理的問題にも言及しながら,Parkinson病の作業療法の臨床について述べてみたい.
Copyright © 1988, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.