The Japanese Journal of Physical Therapy and Occupational Therapy
Volume 22, Issue 2
(February 1988)
Japanese
English
特集 業務独占
医療における専門分化
Monopolization of Professional Practice: Specialization of Professions in Medical Care
横田 真二
1
Shinji YOKOTA
1
1厚生省健康政策局医事課企画法令係
1Department of Health Policy Bureau, the Minstry of Health and Welfare.
pp.72-75
発行日 1988年2月15日
Published Date 1988/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518103961
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Ⅰ.専門分化の構造
最近の医療の現場においては,総合病院,大病院が続々と作られ,それはまさに,一つの企業とも言える様相を呈している.そこを訪れる大勢の患者に的確にそしてシステマティックに対処していく光景は,まるでオートメーション化が進んでいる工場の流れ作業を思わせるものがある.企業が,他との競争に勝ち,生き残っていくためには,徹底した合理化と作業能率の向上が必要なように,病院もまた,医療の分野において合理化と能率アップが必要となってきつつある.そのような要請が,多様な医療関係職種のチームワークによって医療を行っていく現在のような体制を生んだのである.つまり,工場の流れ作業で,それぞれがそれぞれの担当部分を組み立て一つの完成品を作り上げていくように,医療の現場においても,昔のように医師が,問診から検査,注射から投薬まですべてを行うのではなく,診療の一連の行為の中で,医師以外の者に任せられるものは任せて,その人たちと共同して診療を行っていくようになってきたのである.それは細分化された領域に熟練した技術者を配したほうが,医療経済的にみても合理的であるし,医療技術的にも良質なサービスが期待されるからである.しかし,本来,医療は,高度の専門性が要求されるだけでなく,それ自体きわめて高い危険性を有するものであるため,医療は医師のみが行えるものとされており,医師以外の者に,医療の一部をおいそれと任せるわけにはいかない.そこで,生まれてきたのが看護婦をはじめ数々のコ・メディカル職種の資格制度なのである.つまり,公認の資格を作り,その資格を有する者に限って,医療の一翼を担うことができるようにしたのである.
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