Japanese
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研究と報告
脊髄損傷者の坐圧分布と除圧のくふう
Ischial Pressure Distribution in Patients with Spinal Cord Injuries and Methods for Relieving Pressure
武田 功
1
Isao TAKEDA
1
1京都大学医療技術短期大学部
1Department of Physical Therapy, Kyoto University College of Medical Technology.
pp.839-844
発行日 1987年12月15日
Published Date 1987/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518103931
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Ⅰ.初めに
脊髄損傷者あるいは脊髄疾患(以下「脊損」と略す)による対麻痺,四肢麻痺の患者は車椅子使用まで自立すれば一日の大半の時間を坐位姿勢で過ごすことが多くなる.彼らのほとんどは通常,車椅子を足代わりとして使用しておりつねに坐面との接触部に生ずる褥瘡の危険性に曝(さら)されている.褥瘡は周知のとおり易発生,難治性,易再発牲であることから予防が第一であると言われながらも,その予防にはつねに難渋を極め現在でも深刻な問題の一つであり,まだ完全に解決されていない.ことに車椅子使用まで自立していながらなお褥瘡のためにリハビリテーションプログラムを中断し多くの貴重な時間を褥創の治療だけに費やさねばならないことは,患者の社会復帰にとっても大きな損失である.
褥瘡の発生原因の主なものは物理的要因として皮膚に対する圧迫力の強さと,その持続時間である1).その対策として車椅子での坐位時の姿勢や車椅子との適合性,除圧のために開発された各種のクッション材の使用,自力でのプッシュアップ(両上肢で身体を押し上げ坐面から殿部を持ち上げる)動作を30分ないし15分間に1回1分間定期的に励行することなどのような坐圧の分散が図られている.著者はそのような条件をさらに満たすため,坐圧分散の検定と除圧のくふうとしてシートソケットを考案試作したので報告する.
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