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特集 脳卒中リハビリテーションの再検討
脳卒中リハビリテーションの再検討―リハビリテーション・プログラムの層別化を中心に
Re-examination of Stroke Rehabilitation: Stratification of the Rehabilitation Program
上田 敏
1
Satoshi UEDA
1
1東京大学医学部附属病院リハビリテーション部
1Central Rehabilitation Service, University of Tokyo Hospital.
pp.716-726
発行日 1987年11月15日
Published Date 1987/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518103897
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Ⅰ.初めに
我が国の脳卒中リハビリテーションは現在ひとつの大きな再検討期に入ったと言ってよいであろう.それは単なる技法のうえの再検討にとどまるものではなく,根本的な考えかたと実地臨床の在りかたのうえでの基本的な転換となるはずのものである.
このような再検討の対象となる範囲は,少なくとも次の四点を含むものと考えられる.
(1)「温泉地型リハビリテーション」から,「早期リハビリテーション」を中核として含んだ「都市型リハビリテーション」への転換.
(2)廃用症候群の重要性の再認識,特に片麻痺の「健側」の廃用予防と廃用性「体力」低下予防の重要性.
(3)科学的予後予測に基づいたリハビリテーション・プログラムの層別化.
(4)以上と関連してのファシリテーション・テクニック,特にBobathアプローチの再検討.
以上の四点の順序はほぼ重要性の順序と考えてよい.すなわち現在の最大の急務は(1)から(3)までの諸点における転換であって,(4)のファシリテーション・テクニックについては,それが以上の三点での転換を陰に陽に妨げていることがまず第一の問題であり,その点では厳しい批判が必要であるが,必ずしも(1)~(3)と矛盾しないような点については,結論を急ぐ必要はなく,議論と対話を深めていく余裕があると考えられるのである.
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