短報
肢体不自由児施設を退所する脳性麻痺児の進路を左右する因子について
三宅 良昌
1
,
渡辺 敏弘
1
,
藤田 実代
1
,
池田 祥子
1
,
高塚 忠茂
1
,
中塚 洋一
1
,
高橋 義仁
1
1愛媛整肢療護園
pp.697-699
発行日 1987年10月15日
Published Date 1987/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518103889
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
Ⅰ.初めに
“肢体不自由児施設を退所する脳性麻痺(CP)児の進路を左右する因子は何か?”私たちはこの疑問に対する回答を得たいと思っている.これが得られるなら,それに基づきCP児に対する療育プログラムは多少修正されねばなるまい.進路を左右する因子は身体的因子,知的因子,環境的因子などさまざまであろう.環境因子の分析は難しい.そこで,1975~1985年の間に私たちの施設を退所したCP児で,1986年8月に16歳以上に達している118人の現状を調べ,入所中の記録から,CP児の知的能力と身体的能力のうちどの部分が,彼の退所後の進路を左右しているかを知ろうとした.
決まった進路を個人あるいは周囲からの理由で,数回変えざるをえない人もいる.したがって,退所後のCP児の生涯記録を集積して,この記録から進路を左右する因子は何かという疑問に回答を得るならば,これは正確である.しかし,私たちはこのような生涯記録をもたないので,今回は時間の流れを無視して,1986年8月の時点における進路の現状を調べることで満足した.退所後のCP児の生活を定期的に調べ,その記録を集積する必要を知ったことが今回の調査で得られた収穫であった.
Copyright © 1987, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.