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特集 音楽療法
特別養護老人ホーム愛全園における音楽療法
Music Therapy in “Nursing Home, Aizen-en”
蓮村 幸兌
1
,
安部 美伸
1
,
伊藤 直栄
2
,
赤星 建彦
3
Sachie HASUMURA
1
,
Minobu ABE
1
,
Naoei ITO
2
,
Tatehiko AKABOSHI
3
1愛全園(特別養護老人ホーム)
2信州大学医療技術短期大学部
3東京ミュージックボランティア協会
1Aizen-en.
2School of Allied Medical Professions, Shinshu University.
3Tokyo Music Volunteer Association.
pp.455-462
発行日 1987年7月15日
Published Date 1987/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518103820
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Ⅰ.医師の立場から
特別養護老人ホーム愛全園内には,二大疾患として,循環器疾患(高血圧症,心臓病)63.6%と脳血管障害39%とが存在する.次いで最近急速に増加してきた疾患として老人性痴呆(脳血管性痴呆Alzheimer型老年痴呆)28.8%(1978年調べ)→53.6%(1985年調べ)に注目しなければならない.10年前までは,もっぱら身体的機能の低下によるADL低下群が目立ち,それに対するリハビリテーションが主流であったが,近年私の勤務する施設では,身体的機能は正常であるにもかかわらず,ことにAlzheimer型老年痴呆によるADL低下群が増加してきている.つまり,リハビリテーションの普及によって,いったん減少してきた,おむつ使用者の人数が,再びふえてきている現象があり,リハビリテーションの内容も大幅に変えなければならない現状である.つまり身体的機能の向上のみに着目していられず,知能の低下した痴呆老人たちを,いかにして日中,リズムのある生活に導くか,残された脳細胞を,どう有効に使って昼の生活を楽しめるようにするかという脳の学習課題が必要となってきたのである.一部の徘徊の激しい痴呆老人を除き,痴呆のある老人を放置すれば,たちまちにして昼も夜も,無意欲,無為に寝たきりとなり,痴呆の悪化と身体機能の低下を早める結果を招くのであり,日中をいかに起こしておくかという課題は大きなポイントである.
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