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はじめに
昭和39年6月に我国における特別養護老人ホーム第一号として開園した愛全園の医師として,老人の医療とリハビリテーションの向上をめざして努力して来た.その過程において,老人の医療には多くの特殊性のあることを発見したが,リハビリテーションについても予想外の可能性と効果を発見するにいたり老人のリハビリテーションの重要性を痛感すると同時に,老人のリハビリテーションに限り,従来の概念からは,いささか異ったものとしてとらえてゆかねばならないと考えている.すなわち老人におけるリハビリテーションとは個人の疾患に対する1つの対策ではなく,老化現象そのものに対する必然的な対策であり手段でなければならないのである.
ところで特別養護老人ホーム(以下特養と略す)について少し説明すると,老人福祉法の第十一条には「特養とは身体上,精神上著しい欠陥があるため,常時の介護を必要とし,かつ居宅においてこれを受けることが困難な老人を措置する施設である」と規定されている.これを医療の面から見ると,かなり充実した医療体制の整備の必要性を感じ取るはずである.なぜならば特養に入園する対象となる老人の多くは老化に伴う身体,精神の生理的機能の低下だけでなく治療を要する慢性の成人病および合併症をすでにかかえ持っている状態が予想されるからである.従って施設の内容は,老人ホームと言うより,病院の性格を持つ必然性があると言えよう.この事は老人福祉行政上,大きな矛盾と問題を持っているが今回は触れないでおこう.
私は,特養はあくまでも病院ではなく,生活の場であると考えるので,医療の充実は当然の事であるが,更に老人に生きる張りや,生きがいを持たせる事ができたり,園での生活の楽しさを感じさせられたらと願っていたのでその方法としてリハビリテーションを取りあげたのである.
以下,当園において,手さぐりながら,すすめて来たリハビリテーションプログラムを,1つの方法として紹介したい.
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