プログレス
透析療法の進歩
和田 孝雄
1
1慶應大学内科学
pp.413
発行日 1987年6月15日
Published Date 1987/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518103806
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透析療法はかつて人工腎臓と呼ばれたものとほぼ同一のものである.しかし,腎臓のもっている働きのうち血液濾過の作用を,半透膜(セロファン膜など)を介した透析という操作によって代用させているに留まるため,より正確な表現として人工透析という呼びかたが一般的となった.また,さらに進んで透析だけでなく,血液濾過法,血液吸着法など,いろいろな変法が発達するにつれ,透析療法ということばさえ不適当となり,血液浄化法という名称も登場するに至った.このように,いわゆる透析療法と呼ばれるものも,医学の進歩につれて年々変わってきているというのが実情である.
腎不全の患者では,血液中の尿素をはじめとする窒素物質が高濃度に貯溜しているので,その血液を半透膜を介して透析液と接してやれば,濃度差によって窒素物質を取り除くことができる.これは溶質の拡散過程を利用して物質の除去を行うものであるが,それ以外にもいくつかの方法が考えられる.
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