プラクティカル・メモ
頸髄損傷者の車椅子とベッド間の移乗用自助具2点
古内 文夫
1
1国立療養所箱根病院
pp.204-205
発行日 1987年3月15日
Published Date 1987/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518103757
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1.はじめに
頸髄損傷者(以下頸損者)の車椅子とベッド間の移乗の自立は,必要性の高いADL能力であり,また患者および介護者側からの要望も高い.しかし,障害レベルの高い頸損者は,この動作の獲得を諦めることが多かった.その原因はいくつかあるが,その中で「長坐位で体幹前屈した肢位からのおきあがり不可」すなわち,前屈した格好で,どうにも動きがとれなくなってしまうということがもっとも大きな原因になる場合が多い.
そこでその問題の解決を中心に,頸損者の車椅子とベッド間の移乗用自助具を考案した.
①上半身支持台(別名,頭受け台)(図1)
長坐位前屈予防,もしくは前屈した肢位からおきあがるためのもの
②肘ロック補助ボード(別名,補助ボード)(図2)
車椅子からベッドへの移乗時,手をつく(肘伸展ロック可の)場所を作るもの.車椅子のハンドリムとベッドにわたす(図3,4)
なお,ベッドから車椅子への移乗時は,補助ボードは不要.
上半身支持台は61年1月より,肘ロック補助ボードは61年4月より使用し,訓練している.61年10月現在,3名が実用し,3名が訓練中で,試行段階をへて,実用的自助具となりつつあるので,ここに紹介する.
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