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はじめに
レーザー(laser)という用語は,原子や分子による光の誘導放出を利用して光波を増幅する,という意味の英語Light Amplification by Stimulated Emission of Radiationの頭文字を集めて作った,いわゆる頭字語である1).レーザー光線は,人間が作り得た唯一の人工光線2)であるが,その光は強く,僅か1ミリメートルのビームの中でも太陽光に等しいビームから出る光線は,懐中電灯のように広がらず指向性が高く,数ワットの力しかないレーザービームを月に向けて発射したところ,月の表面に達したとき僅かに4キロしか広がらなかった3).38万キロの隔たりを考えると驚くべき指向性を有している.またレーザーは,コヒーレントである.つまりレーザーから出る光はすべて相互に緊密に整列していてしかも出す光は一色にしかすぎない.すなわち単色性である.以上のようなレーザーの持つ画期的な物理特性,1)単色性,2)指向性,3)干渉性,4)エネルギー集中度および高輝度性2)から,レーザーは医学の分野でもこの20年,急速な発展をしてきている.その中にあって,低出力レーザーは,鎮痛に効果のあることから,各国でもペインクリニック,東洋医学などに導入されているが,理学療法分野における臨床的応用は未開拓に等しく,神川は物理療法には温熱療法,光線療法,電気療法,水治療法などがあるが,レーザー療法は物理療法であり,その範ちゅうにきちっと納めて欲しいと述べている4).低出力エネルギーレーザーによる鎮痛効果は,神川,大城らによって多くの研究,治験例が報告されており,われわれも神川教授のご指導によってレーザー療法を4年前より試み,治療件数は2,500件にのぼり,物理療法の一方法として日常化しているが,新しい物理療法の開拓分野として追求研究し発展させていくべきものであると確信している.
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