Japanese
English
特集 痴呆を合併する患者の理学療法・作業療法
痴呆を合併する障害老人の理学療法
Physical Therapy for Aged Patients with Dementia
高口 聡
1
,
斎藤 靖夫
1
Akira TAKAGUCHI
1
,
Yasuo SAITOU
1
1長尾病院
1Nagao Hospital.
pp.741-746
発行日 1986年11月15日
Published Date 1986/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518103669
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
はじめに
今日の高齢化社会に於て,あらゆる問題に関して老人を無視することはできない.リハビリテーションの分野も例外ではない.理学療法を施行する上で,老人の抱えている問題も極めて大きい.一般に,「老人」と言っただけで,社会の第一線を退いたという印象が強く,就労の場は制限され,社会や家族での役割も過少評価され,影の薄い存在に見られがちである.まして身体障害,さらに痴呆などの精神的障害を合併した場合は,これに輪をかけて過大視され,社会の隅に追いやられている.
老人福祉法の下,入所施設は漸増しつつある.それにも増して核家族の急増・社会全体の価値感の変容のため,家族による介護が最良であるものの今後は期待し難く,老人は行き場を失い途方に暮れている感がある.われわれセラピストはしばしば老人の退院後の生活環境として,何処を目標設定としたらよいのか困惑することが少なくない.
本稿では,痴呆に対する直接的アプローチではなく,痴呆状態を呈する障害老人へのアプローチとして,われわれが一般病院という場で,日頃留意している点について述べ,最後に一症例を示して締め括りとしたい.
Copyright © 1986, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.