プログレス
脳の画像診断の進歩(3)
山田 英夫
1
1東京都老人医療センター核医学放射線部
pp.701
発行日 1986年10月15日
Published Date 1986/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518103656
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MRIとMRS
磁気共鳴反応を利用するMRI (Magnetic resonance imaging)は最も新しい診断装置であり,これにより鮮明な画像と化学シフトと言う現像により生化学的情報を得ることが出来る.
MRIの原理は極めて難解であり,その詳細は成書に譲るが,ここでは簡単にアウトラインを述べるにとどめる.物質を形成する原子は原子核(陽子と中性子より成る)と軌道電子から構成されている.磁気共鳴(Magnetic resonance)はこの中でスピンを持った原子核のみで見られる現象である.スピンとは陽子,中性子,電子などの原子レベル以下の粒子が自転することを意味している.奇数個の陽子または中性子よりなる原子核がこのスピンと言う現象を有している.生体内でこのMR現象を持つ核種には1H,13C,23Na,31Pなどがある.また19FもMRIの対象となる.このうち最も簡単な原子である水素1Hの原子核は一個の陽子と一個の電子より成り,生体内にも最も豊富にある重要な元素である.
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