プログレス
脳の画像診断の進歩(2)
山田 英夫
1
1東京都老人医療センター核医学放射線部
pp.625
発行日 1986年9月15日
Published Date 1986/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518103635
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γ線核医学の限界とPETの登場
核医学は非侵襲的な画像診断法として最も早く登場してきた.現在では,シンチレーションカメラとこれに適したγ線放出核種を用いる方法が一般的である.核医学検査の特徴は臓器親和性のある放射性医薬品を用いることにあり,その動態測定によって各臓器に特有な機能を生理的状態で,しかも検者ののぞむ部位(region of interest)から得られること,心ゲート法などにより心の収縮運動を非観血的にシネマとして,かつ定量的に得られることなどである.CT装置の開発は核医学に大きな衝撃を与えたが,その技術はRI回転断層法に応用されSPECT(single photone emission tomography)として普及している.この核医学には安全性,医薬品標識の容易さなどの多くの利点がある.しかしγ線放出核種には生体構成成分であるH,C,O,Nなどの元素は含まれていない.そのため,甲状腺検査に用いるヨードなどを除き生体構成成分とは無関係の医薬品であるため生理的情報は得られるが,生化学的情報を得ることは出来ない.
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