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講座
手指の障害学(基礎編) 2.手指の発達
Impairments, Disabilities and Handicaps Related to the Hand and Finger 2. Development of the Hand
泉類 博明
1
Hiroaki SENRUI
1
1滋賀医科大学整形外科
1Department of Orthopaedic Surgery, Shiga University of Medical Science.
pp.629-636
発行日 1986年9月15日
Published Date 1986/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518103638
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Ⅰ.胎生期における手の発達
1.正常発達11)
排卵後30日目に,胎児(約4mm長)の体側壁にヒレ状の上肢芽が出現する.この上肢芽は,その後の3週間に,末梢方向に向け急速に分化し発達する.36日目には,手板が形成され,39日目には,手板の間葉組織が濃縮し,指の数に相当する5条の指放線となる.やがて,形成された指放線と指放線の間が陥凹するため手板の辺縁は波形を呈するようになる.しかし,上腕や前腕の間葉濃縮はこの水かき様手板の形成よりも早いため,手板形成時にはすでにそれぞれの部位に筋,骨原基が出現している.骨原基の軟骨化は上腕骨が最も早く,以後,橈骨,尺骨,手根骨,基節骨の順におこる.48日目には末節骨の一部を除き手の骨格はすべてが軟骨となる.軟骨化の後,手関節や指関節には関節形成の前段階である裂隙が生じるが,関節形成やその維持には胎児の筋活動が不可欠である.50日を過ぎると,分化はもはや認められなくなり,以後は大きさを増したり,各組織の位置関係やバランスが変化したりするのみである.
誕生時には,手の構成成分の大部分が完成しているが,神経は2歳になるまで髄鞘化注1)しない.
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