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運動学には構造や機能,生理学的運動,機械的運動,発達運動,象徴的運動などの領域がある.reach,grasp,releaseの運動で象徴される手指機能の発達過程を図示する(図1).このような巧緻性を得るためには複雑な手指の運動が必要となる.手関節は橈骨・手根関節,手根中央関節,手根間関節,手根・中手関節などから成る.手関節は3-link systemの形態をとり,動的安定性を保つには舟状骨のクラッチ作用(slider-crank機構)が必要となる(図2).手関節屈伸に際しFCR,ECUは手関節の安定要素(stabilizer)として,FCUやECRは動的要素(mover)として働く.母指のCM関節は鞍状関節(saddle joint)で屈伸,内外転,回旋が可能であり,示指や中指のCM関節は不動で,環指,小指CM関節の屈伸はそれぞれ15°,30°可能でより一層の可動性が得られる(表1).手指の関節は蝶番関節(hinge joint)であり,関節包以外に側方ではcollateral lig.,accesory lig.,掌側ではvolar plate,membraneous portion,背側では複雑なextensor mechanismが関与し関節の安定性を増している.また指のバランスに関与する靱帯としてpalmar aponeurosis(Natatory lig.,Grayson lig.),deep transverse metacarpal lig.,sagittal band,cleland lig.,retinacular lig.(transverse-triangular lig.,oblique iig.)指屈筋腱腱鞘(滑車機構に関与)がある(図3).
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