特集 輸血業務と臨床検査
輸血用器具
佐治 博夫
1
1京都府赤十字血液センター技術部
pp.1310-1319
発行日 1972年11月1日
Published Date 1972/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542907827
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
1947年,ACD加血液から血漿を取り除いても残りの赤血球は,なお全血と同じ21日間の保存期間中,安全に使用できる能力を保っていることが知られ1),次いで血小板を生きたまま分離することも可能となった2).また白血球輸血についても成功に期待がかけられ,骨髄移殖も試みの段階から実用化へ進みつつある.輸血療法は全血の輸血から,血液成分療法(Component Therapy)の時代にはいったといってよい.しかし特にわが国において,血液成分療法の実際が,その研究の進歩よりはるかに遅れているという事実は,医師が進歩についていけないためではなく,これらの目的を達成させる適切で安全な血液成分の分離法が,最近になるまで利用できなかったからである.
それが‘血液バッグ・システム’である.世界中の学者が,現在おもに行なわれているガラスびんでは,安全で十分な血液成分療法は行ないえないことを認めている.
Copyright © 1972, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.