カラーグラフ 経頸管的切除術・1
診断用,治療用器具および外景
林 保良
1
,
岩田 嘉行
1
Bao-Liang Lin
1
,
Yoshiyuki Iwata
1
1川崎市立川崎病院産婦人科
pp.7-8
発行日 1991年1月10日
Published Date 1991/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409900253
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レゼクトスコープは高周波を利用し前立腺疾患や膀胱腫瘍などを内視鏡的に切除するために開発された器具である.泌尿器科ではこのレゼクトスコープを用いる手術法を経尿道的切除術(TUR)と称し,現在では不可欠といわれるほど重要かつ普及した術式となっている.一方,子宮腔は腟を経れば内視鏡によって到達しやすいところであり,われわれはレゼクトスコープを利用し子宮内病変を切除する方法を経頸管的切除術(TCR)と命名し1990年10月まで計256例の患者に手術を行った,表はその内分けを示す.これらの子宮内病変(粘膜下筋腫,中隔子宮,また硬い太い結合組織性子宮腔癒着)の治療には,従来より筋腫核出術,子宮形成術,または癒着組織切除術などが主に開腹により行われてきた.特に粘膜下筋腫の治療では,子宮全摘を余儀なくされることも少なくなかった.しかし,これらの従来の子宮手術では患者への侵襲が大きく,開腹による術後の疼く痛や合併症の可能性は避けることができない.さらに挙児希望の患者においては術後癒着は新たな不妊原因にも発展しかねない.また,幸いにして妊娠に至り,順調に経過したとしても分娩時には創部破裂への配慮から帝王切開に至ることがほとんど必然ともみなされてきた.しかしわれわれは経頸管的内視鏡下にこれらの病変を切除し上記の開腹手術に伴う不利益を避けることができた.術中の出血も少なく,術後の疼痛もほとんどなく,患者は早期に退院でき,しかも臨床症状を著しく改善させるので婦人科疾患において有効な治療法と考える.
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