とびら
専門の間をつなぐもの
岩崎 徹也
1
1東海大学医学部精神科
pp.77
発行日 1986年2月15日
Published Date 1986/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518103501
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精神医療に携わるスタッフには多くの職種があり,それぞれが専門を有している.医師は精神医学を,心理学者は臨床心理学を,看護婦は看護学や看護技術を,ケースワーカーは精神科ソシアルワークを,そして作業療法士は作業療法に関わる知識,理論や技法を専門としている.しかし,それら個々の専門職がチームを作り,協同して精神医療を実践するにあたって,おのおのの専門の間をつなぐものは何であろうか.それなくしてはおのおのの専門職が個々にばらばらに活動しているにすぎないものになり,医療チームとしての機能は発揮し得なくなる.また実際にそのような現実を見ることが多い.考えようによっては,精神科医をリーダーとする組織構造がスタッフ達をまとめ,おのおのの専門職の間をつないでいるということも出来よう.しかし,それはともすると各職種間の階層秩序を基盤とした上下関係的な構造に終始しがちで,そこでは専門性が簡単に否定されやすい.そして実際にそのような現実を見ることもまた多いのである.しかし,真の専門性はチームの中で個々の職種の主体性がそれぞれ尊重されてはじめて成立するものであろう.
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