今月の主題 癌と免疫
癌免疫療法の実際(内科領域での)
急性白血病
大野 竜三
1
,
山田 一正
1
1名大第1内科
pp.1052-1053
発行日 1979年7月10日
Published Date 1979/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402215971
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はじめに
急性白血病に対する化学療法の進歩には目覚ましいものがあり,完全寛解率の向上と生存期間の着実なる延長も認められている.しかしながら,大部分の患者では,化学療法の継続にもかかわらず白血病は再燃し,死の転帰をとるのが現状である.したがって,化学療法に加える治療法の一つとして,免疫療法が注目されており,Mathéら1)の小児急性リンパ性白血病(ALL)に対する研究をはじめとし,各種の免疫療法が試みられてきた.
免疫療法の臨床応用にあたっては,対象とする癌細胞に,免疫が効果を発揮しうる腫瘍特異抗原が存在することの証明が必要であるが,急性白血病細胞においても,mixed lymphocyte tumor cell reacton(MLTR)により,患者リンパ球は自己白血病細胞を『非自己』と認識し幼若化反応を呈すること2),あるいは患者血清中には自己白血病細胞と反応する抗体がimmune adherence法により証明しうることなどにより,ヒト急性白血病細胞,とくに急性骨髄性白血病(AML)においては,白血病特異抗原が存在している可能性が高く3),免疫療法により,この抗原に対する患者の免疫応答をたかめることによる白血病治療法の可能性はあると考えられている.
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