特集 PT・OTの医療経済における効率的側面
<随想>
診療報酬についての雑感
比留間 ちづ子
1
1東京女子医科大学病院
pp.838
発行日 1985年12月15日
Published Date 1985/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518103459
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作業療法の収入は保険点数の獲得によるしかない.どの位稼働すれば経済的な自立ができるのか? 理想的な経費の割台は? あるいはOTがどのように機能すれば病院(医療)全体にも援助ができるのか? そしてOTの質の充実との関連は? 様々な要素が頭の中をめぐっている.
今回改定された保険点数は付帯条件と共に納得のいくものではない.改定の主旨の「在宅医療,社会復帰医療,プライマリケアの推進」という項目に相当し全体の平均3,5%の約2倍,複雑6.6%,簡単8.3%という値になっている.しかし複雑,簡単の分類が残存していることや,包括点数とし検査項日がないことは有資格者が行う作業療法という専門的な治療法に対しての保証を示していないし,受けとめていない.また時間,人数の制約や実施時間を記入するという点でも作業療法が持つ「場」の利用や人間関係向上を無視し,ベッドサイドや病院外でのADL指導などの実用的社会復帰過程を考慮しない点など改正の主旨に反している.評価,訓練,ADL指導,心理的ケアをその都度行う作業療法はゆうに1時間を超え自助具,スプリントの作製なども1~2時間を要する.簡単の項日も不適切である.また精神障害に対する低点数の据え置きと付帯条件は治療としての配慮に欠け,同一資格のOTが行うものでありながら格差がありすぎ,奇異な感じである.
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