ナースの意見
雑感
近藤 諭
1
1京大看護学校
pp.41
発行日 1960年8月15日
Published Date 1960/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661911144
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看護夫誕生?と言えば奇異に感じる人も無きにしもあらず。然し世はまさに婦ならぬ夫の時代とも言える。曰く家夫etc。婦人職業の代表的なものと見られていた看護の世界に男性が進出してきたのだから心なき女性から白眼視されることは必定。その卵としてこの道に飛び込んで既に3年を経過,紅一点ならざる黒3点の1人として多数の女生徒とともに理論と実習に日夜励んできた。特に女性と異つた意見も感想も無いが私は私なりにこの貴重な体験を基礎に日頃の思いを雑感の形で綴つてみたい。何分未熟な学生の感想故,犬の遠吠えとしてご覧願いたい。
看護の根幹は技術的看護と精神的看護の2つに大別出来る。冷静にして緻密な態度からより完全な技術が生まれる。多くの患者に接して医師の指示通りに任務を遂行する。千差万別の患者に対して公式通りのテクニックを習得するのは時間の問題であり,長期に渡る経験が如何に重要であるかは諸先輩の実績を見れば一目瞭然である。私が問題にしたいのは,これら完全に習得された技術がどんな背景のもとで行われているかと言う点である。即ち肉付けされた技術,精神的支柱を持つた技術と単なる技術との相違である。
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