The Japanese Journal of Physical Therapy and Occupational Therapy
Volume 19, Issue 10
(October 1985)
Japanese
English
研究と報告
脊髄小脳変性症に試みた理学療法の検討―歩行障害を中心として
Physical Therapy Treatment Trials for Spinocerebellar Degeneration
前田 哲男
1
Tetsuo MAEDA
1
1東京大学付属病院リハビリテーション部
1Dept. of Rehabilitation, University of Tokyo Hospital.
pp.707-715
発行日 1985年10月15日
Published Date 1985/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518103427
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Ⅰ.はじめに
理学療法の効果を考える時,ただ機能障害(impairment)に効果があったからといって,患者に益するものがあったと考えるわけにはいかず,能力障害(disability),社会的不利(handicap),患者の心理的状態をも合わせて,リハビリテーション全体としての効果の中での理学療法の効果を考えていかなければならない1).その上,脊髄小脳変性症の場合は発病から歩行が不能となるまでの経過が,小脳障害型で平均56カ月,脊髄小脳型で平均103カ月と長く2),一時的に改善があったからと言っても,それが,その患者の人生に影響を与えたかどうかは別の問題となる.しかし,脊髄小脳変性症等の小脳性失調症に対する理学療法はフレンケル体操3,4),おもり負荷5,6),神経筋促通手技(proprioceptive neuromuscular facilitation,PNF)7),弾性緊縛帯8)等が行われているが未だ決定的なものが見いだされていない9)ことから,現段階では,まず短期的にでも,impairment,disabilityに改善があれば,一定の意味があると考えてもよいであろう.
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