The Japanese Journal of Physical Therapy and Occupational Therapy
Volume 19, Issue 10
(October 1985)
Japanese
English
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
はじめに
近年スポーツは子供より大人に至るまで広い年齢層に至って行われている.
殊に,スポーツ障害の中でも手首,指の障害は非常にpopularなもので整形外科医のみならず,外科医,また開業している医者では内科医であっても本障害の治療を手がけることもあり得る.
また,PTを始め整骨医,ハリ・マッサージ等一般の診療と担当されている人々も本障害をとり扱う機会は比較的多いものと思われる.
一般に本障害は多くの人々にとって,とり扱いが比較的楽であると思われていることが多い.
また,軽傷のことも実際には多く,手指外傷の現場でのとり扱いのコツは,本当に軽傷なのか,あとで本文の中で述べるように要注意のケースなのか,その他の鑑別診断も実は非常に大切なところである.
手は人間の第2の目であると言われているように,将来のスポーツ活動にこの予後は非常に重大である.浅学非才な筆者であるが現場との関わりあいの中で気がついたことを少し述べてみたい.
1.受傷機転
受傷機転については,ボールの突き指が圧倒的に多く,これはいろいろなスポーツにおいて,また日本では野球を始め,バレーボール,ソフトボール等ボールを扱うケースが多いことによるのではないかと思われる.
2.外傷の種類
室田等の調査によると1)指の骨,関節損傷,2)母指の骨,関節損傷,3)手関節部の骨,関節損傷,4)腱,神経血管損傷,5)腱鞘炎,6)絞握性神経障害,7)その他に外傷の種類を頻度別に分類しており,指の骨,関節損傷がやはり圧倒的に多く73%を占めているという.
これもスポーツ動作の特異性によるものと思われる.
また最近著者も腋窩動脈に障害例をみているも,漸次指動脈に明らかな障害をきたした症例を経験している.
最近,動脈硬化症の発病率が増加する傾向にあるところから,スポーツというストレスによって指動脈の末梢血管障害の発生率も今後増加する傾向にあるものと考えている.
3.診断別発生頻度
室田の詳細な報告を紹介すると,槌指,DIP関節脱臼骨折,PIP関節側副靱帯断裂,PIP関節脱臼骨折等が比較的多くみられているので,この辺の診断治療が現場でもやはり一番問題になると思われる.
Copyright © 1985, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.