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特集 教育(理学療法・作業療法の教授法を中心に)
高等教育における教授法の問題と実践
Issues of College Teaching in Japan
高橋 靖直
1
Yasutada TAKAHASHI
1
1玉川大学文学部教育学科
1Department of Education, Tamagawa University.
pp.213-218
発行日 1985年4月15日
Published Date 1985/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518103296
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Ⅰ.高等教育における教授法の問題
大学の新学期を考えてみよう.教師が教室に入ってきて,簡単に自己紹介する.授業の進め方や教科書について何か説明があるだろう.講義が始まる.ある教師はもっぱら教科書の説明に専念する.ある教師は専門分野の知識をのべ伝える独演会を開く.真面目といわれる学生はせっせとノートをとる.熱心に聴く学生ばかりとは限らない.他のことを考えたり,内職をしたり,あるいは居眠りする者もいる.学期末になると,学生たちはノートを交換したりして暗記に精を出す.そして,ペーパーテストに合格すると単位が認定される.
以上のような授業だけが日本の大学のすべての授業ではもちろんないが,似たような授業を経験したことのある人は少なくないだろう.筆者が通信教育の夏のスクリーニングで担当している学生(既に一般の短大や大学を卒業し,教員免許資格を取得するために通信教育を受けている者)に,これまで自分が出合った学校教師の「教え方」を振り返ってもらうと,小・中・高に比べて,大学での教え方が一番下手で,工夫に欠けているものが多かったとの声がよく聞かれるのである.多くの高等教育機関は教育と研究という二つの社会的機能を果たす責任があることは,大方の認めるところであるが,近年,その教育のあり方に関心が高まってきた.その中で,これまで無視あるいは軽視されてきた「教授法」へ,僅かながら関心が払われるようになってきた.この小論では,まず教授法をめぐる問題とその背景について考え,次に教授法を三つの視点,すなわち授業における計画,実施,評価の視点から概観することにしたい.
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