巻頭言
高等学校の諸問題
成田 喜英
1,2
1全国高等学校長協会
2財団法人能力開発研究所
pp.1
発行日 1963年8月1日
Published Date 1963/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663904409
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現下の高校に関する問題というと,誰しもまず採り上げるのは,本年度から始まって40年度に最大に達する生徒の急増に関する問題であろう。本年度に関しては,学校新設,学級増,定員増でどうやら大した中学浪人を出さずに済んだが,概して施設設備の整備がそれに伴わず,県によっては適格教員の甚だしく不足しているところもある。それに加え,教育課程が改定されて,教科選択の幅が狭くなり,必修となった地理・地学・その他理科の科目等では特に施設設備がそれに伴わず,教員も充足されていない現状である。さらに学校数・学級数は増加したとはいうものの,科学技術教育振興の立前から,工業高校の増設は著しいが普通高校がそれに伴わないため,将来大学進学を目指すもので,希望校にはいれないものが多数いることにも問題がある。なお3年後の高校生の進路を考えると,大学や就職先の受入態勢が整うかどうかということが,今後の大きな課題となっている。
以上のような問題は,高校教育の本質に関するものではなく,政治的・社会的に採り上げられ解決さるべきものと考えられがちではあるが,やはり教育の本質や実態に即応して採り上げるのが正しいあり方だと思う。
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