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第9回「理学療法と作業療法」賞・受賞論文
入賞:電気刺激による大腿四頭筋強化
Strengthening the Quadriceps Femoris by Electrical Stimulation
浦辺 幸夫
1
Yukio URABE
1
1札幌医科大学衛生短期大学部
1Department of Physical Therapy, School of Allied Health Professions, Sapporo Medical College.
pp.877-883
発行日 1984年12月15日
Published Date 1984/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518103228
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Ⅰ.筋肉への電気刺激
従来筋力を強化する方法として,筋肉の随意的な収縮による抵抗運動(resistive movement)や等尺性収縮(isometric contraction),および等速性収縮(isokinetic contraction)等が行われてきた.ところが1972年のミュンヘンオリンピックにおいて,ソ連の選手の中に特に発達した筋肉を有する者達がいた.翌年カナダの生理学者がソ連を訪れ,その理由が「電気刺激装置(electric stimulator)」とそれによる「筋肉への電気刺激(electric muscle stimulation:EMS)」の訓練の結果であるという興味ある知見を伝えた1).以後カナダを中心にEMSを利用した筋力の強化についての研究が次第に行われるようになり,1977年にこの研究に最も貢献したといわれるKotsがEMSの詳細を述べたという2-5).
筋肉に対する電気刺激の効果は,およそ1世紀以上前から報告されている1,6,7).しかし,このような筋肉の随意的な収縮なしでも筋力の強化が期待できる方法が,スポーツ選手に使用され始めたのはここ数年のことである1,3-5,8).したがってその効果についての論述は現在のところ限られたものであり,EMSの刺激条件や方法もまちまちで,統一した見解はまだ得られていない.また我が国ではようやくアスレチックリハビリテーションに,一部で用いられるようになったばかりである.
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