プラクティカル・メモ
我々が考案した下肢牽引架台の使用経験
直島 茂友
1
,
須田 昭男
1
,
渡辺 好博
1
,
安達 武雄
2
1山形大学医学部付属病院
2植松義肢製作所
pp.64-65
発行日 1984年1月15日
Published Date 1984/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518103022
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Ⅰ.はじめに
下肢牽引架台の一般的な目的として,骨折の牽引整復や,外傷,術後の出血,うっ血,腫脹などの循環障害の軽減などがあげられる.従来から当院で使用しているブラウン架台は,①とくに皮下脂肪の少ない高齢者に腓骨神経麻痺を起こしやすい,②目的とする架台の高さや,牽引方向の角度設定が困難である,③取り付け操作が煩雑であるなどの改善すべき問題点が指摘されていた.とくに牽引方向の角度設定に関する問題は,Carini1)らによると,牽引に関する力学的要素として
①牽引を加える角度
②重鍾の量
③滑車の数
④反対牽引の提供
をあげており,牽引角度は,ベッドのフレーム上の滑車の形成される角度と,牽引される関節の角度により,引く力の作用線が決定される.つまり,正確な牽引方向を行うには,牽引架台そのものの,高低や回旋角度を自由に操作できるものを必要と考える.従来までは,下肢の回旋を防止するためのギプスによる固定板を使用していた.このほど,我々は,これらの点を考慮した下肢牽引架台を製作し,ほぼ満足な結果が得られたので報告する(図1,2).
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