プログレス
躁うつ病の生化学的研究(最近の進歩)
仮屋 哲彦
1
1山梨医科大学精神神経医学教室
pp.775
発行日 1983年11月15日
Published Date 1983/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518102969
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躁うつ病の成因に関与する因子は極めて多く,遺伝学的,生化学的,生理学的,あるいは精神病理学的,社会学的にと多方面からの検討が必要であるが,ここでは生化学的研究の最近の進歩について述べる.躁うつ病の生化学的研究も,アミン代謝,アミノ酸代謝,電解質代謝,その他の物質代謝や内分泌機能などについていろいろと研究がなされているが,現在,もっともよく研究され,かつ注目されているのはアミン代謝を中心とした研究である.
躁うつ病のカテコールアミン仮説やセロトニン仮説は,主として薬理学的事実から出発している.すなわち,モノアミン遊出作用をもち,脳を含めた全身のモノアミン含量を減少させるレセルピン使用中の高血圧患者に抑うつ状態が起こることが報告され,また,モノアミンの酸化を阻害し,細胞内でモノアミンを蓄積させるように働くモノアミン酸化酵素阻害薬に抗うつ効果の認められたことに端を発している.
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