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講座
痛みの生理学 5.痛みに関連した自律神経系の生理学
Physiology of Pain 5. Physiology of Autonomic Nervous System Related to, Pain
佐藤 昭夫
1
Akio SATO
1
1東京都老人総合研究所生理学部
1Tokyo Metropolitan Institute of Gerontology.
pp.309-314
発行日 1983年5月15日
Published Date 1983/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518102851
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Ⅰ.はじめに
各種内臓機能は主として自律神経系によって調節されている.自律神経系以外にも一部,ホルモン性にもあるいは運動神経性にも調節されている.自律神経系は,不随意神経系あるいは植物神経系とも呼ばれ,体性運動神経系とは異なるものとされている.それらの活動は情動とか生体内外の刺激に反応して変化し,生体の恒常性の維持に役立っている.自律神経遠心系は交感神経系と副交感神経系に大別される.良く知られているように,交感神経系と副交感神経系の機能は多くの効果器水準で拮抗性に作用する.自律神経系には,遠心性線維のみならず多数の求心性線維も存在し,その線維は内臓の状態を中枢神経系に伝えて,生体の調節系の中で重要な働きをしている.
ここでは内臓および内臓以外の組織に存在する侵害性受容器からの求心性情報が自律神経遠心性活動を反射性に変化させることによって内臓機能に反射性の影響を与える事実に主眼を置き,いくつかの具体例を取り上げながらその反射性反応の機序を説明する.また自律神経系の求心性線維の興奮によって引き起こされる内臓感覚,特に内臓痛覚についても述べる.さらに連関痛と痛覚過敏の現象について説明する.
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