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講座
痛みの生理学 4.痛みの免疫学
Physiology of Pain. 4. Pain and Its Immunological Aspects
松本 美富士
1
Yoshifuji MATSUMOTO
1
1名古屋市立大学病院輸血部
1Nogoya City University Hospital, Blood Transfusion Service & Internal Medicine.
pp.247-253
発行日 1983年4月15日
Published Date 1983/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518102832
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Ⅰ.はじめに
痛覚は生理的には生体を危険から守る警告反応であり,生体の基本的防禦反応機構を形成する重要な反応系である.疼痛は物理,化学的な外的刺激だけでなく,生体の内部環境からの種々の変化に基づく内的刺激によっても生ずる.生体にある内部環境の変化が起こると疼痛を自覚するようになり,臨床的に症状として把握され,各種疾患へのアプローチへと繋がる.
疼痛が主要な臨床症状となる運動器疾患のうち,慢性関節リウマチを初めとした各種リウマチ性疾患は原因不明の炎症性疾患であり,炎症反応の結果,罹患部位に疼痛を訴える.疼痛を抑えるため各種消炎鎮痛剤の投与や,各種理学療法がなされている.これらは鎮痛作用のみならず,消炎作用もあって臨床症状としての疼痛が軽減される結果となる.したがって,生体の内部刺激によって発生する疼痛のあるものは炎症の結果であるものもある.
炎症は生体が侵襲に対して防衛する一連の反応の時間経過であると考えられており,その原因はさまざまのものがあるが,炎症の形成に免疫学的反応の関与は多かれ,少なかれ認められている.そこで炎症の結果として生ずる疼痛を理解するためには免疫学的知識が必要となる.
現代医学の最大のトピックスは免疫学に対する知識の爆発的進歩であり,疾患を理解するために免疫学的知識が必須とまで言われている.そこで本稿では疼痛・炎症・免疫の関連について解説し,痛みの免疫学について述べてみたい.
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