Japanese
English
特集 脊損の自律神経機能
自律神経系の解剖と生理
Anatomy and Physiology of the Autonomic Nervous System.
佐藤 昭夫
1
,
亀谷 秀樹
1
,
中村 はる江
1
Akio Sato
1
,
Hideki Kametani
1
,
Harue Nakamura
1
1東京都老人総合研究所基礎第二生理
1Tokyo Metropolitan Institute of Gerontology.
キーワード:
自律神経系
,
解剖
,
生埋
Keyword:
自律神経系
,
解剖
,
生埋
pp.397-402
発行日 1978年6月10日
Published Date 1978/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552103993
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1.自律神経系とは
自律神経系(植物神経系または不随意神経系とも呼ばれる)は,生体にとって最も基本的な,循環,消化,代謝,分泌,体温,生殖等の諸機能を調節する重要な働きを荷っている.すなわち,自律神経系は,心臓とか腺などの器官系統,およびすぺての器官の平滑筋を神経支配しており,生体の植物的機能を不随意的に統御して,ホメオスタシス(生体の恒常性)を維持している.これに対して,意識的,あるいは随意的に行われる多くの過程は体性神経系の支配を受けている.
自律神経系の中枢は脊髄と脳にあり,その信号は交感神経系と副交感神経系の遠心路を介して末梢の効果器に伝えられる.一方,内臓からの情報は自律神経系の求心路を介して自律神経中枢に伝えられる.Langleyが1921年に自律神経系を遠心系と定義して以来,自律神経系は遠心路に限定して考えられてきた.その後,自律神経系の機能が詳細に研究されるにつれて,Fultonが1938年に「神経系の生理学」において定義したように,求心性線維と遠心性線維とを合せて全体の機能を考える必要性が生じてきた.Fultonは自律神経系を下記のように分類しているが,著者達もこの分類法が自律神経系の機能を理解する上で卓越した定義であると考えている.
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