短報
乳児・早幼児期の精神発達遅滞児の特異な運動形態や常同行為の改善について
古澤 正道
1
,
太田 順子
2
,
皆木 登美子
3
,
大江 信
3
,
服部 一男
4
1ボバース記念病院
2大阪府済生会吹田療育園
3愛知県心身障害者コロニー
4名古屋市児童福祉センターわかくさ学園
pp.796-798
発行日 1982年11月15日
Published Date 1982/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518102746
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1.はじめに
昨今,脳性麻痺児の早期発見システムが整備される中で,当初運動面での障害や遅れとして紹介されてきた乳児が治療過程で精神遅滞児とわかったり,肢体不自由児施設にも精神遅滞による運動発達遅延の乳児が紹介されつつある.
精神遅滞乳児は,自発的動きに乏しいのみでなく,毛髪を引張るなどの自傷的行為や,他者が触れるのみで泣き暴れたりする触覚防衛反応(tactile defensiveness)の過敏1)や,bottom shuffling(いざり)などの特異な移動形態を示すことが多い.そして,この特異な発達は放置すると強い常同行為(stereotyped action)となる恐れがあると思われる.ところがセラピストによる早期介入(early intervention)により運動発達を促進しつつ,セラピストや母親が子供と共感をもち合えるように関わっていくと,心理的にも広がりをみせ,これらの特異な行為が改善されることが多い.
そこで,我々は乳児期から1歳6ヵ月までの早幼児期に神経発達学的アプローチ(ボバース法)によって介入した精神遅滞児の運動発達や特異な常同行為や運動形態の改善について報告する.
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