雑誌レビュー
“Physiotherapy”(1981年版)まとめ
高橋 正明
1
1北海道大学医療技術短期大学部
pp.787-791
発行日 1982年11月15日
Published Date 1982/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518102744
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はじめに
英国のPT機関誌であるPhysiotherapyを以前よりザッと目を通すことにはしていたが,じっくり読むことはまれであった.というのは,これは研究誌というよりも技術紹介や臨床家の再教育のための機関誌であるという印象を持っていたからである.しかし,今回一年分をじっくり読んでみて,確かに教科書に書かれていることや容易に読める記事は多いが,中にいくつか非常に程度の高い内容を持つものがあることを知り,腰を据えて目を通す必要があることを痛感した.英国の理学療法士の資格にはいくつかのランクがある.それら全てを対象に記事を構成するならば,このように易しいものから程度の高いものまで含まざるを得ないのであろう.PTによる研究という側面は米国に比して遅れているように思う.研究論文の形を取っている記事は数えるほどしかないのである.Onuoha(no3. p70)は英国のPT教育が教育の主流からはずれていて,higher national diplomaと同格の認識に基づいた教育がなされるため,その結果,物事を科学的,分析的に把える能力に欠けるという指摘から,大学制度(degree)の必要性を説いている.英国PT内部にもその問題認識はなされているようで,我が国と同様の悩みを持っていることに驚きと安堵を感じたのである.
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