Japanese
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特集 手の外科
手の機能再建術―腱移行術について
Tendon Transfers in the Hand
藤原 朗
1
,
永田 一栄
1
Akira FUJIWARA
1
,
Kazue NAGATA
1
1神戸労災病院
1Kobe-Rosai Hospital.
pp.455-463
発行日 1982年7月15日
Published Date 1982/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518102663
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はじめに
麻痺した筋の機能を代償するために,他に力源を求めて手の機能の再建を計る腱移行術は今日広く行われている術式の1つである.その歴史は比較的古く,1880年Niolodoniが小児麻痺患者の足部変形に腓骨筋をアキレス腱へ移行したのが最初といわれる.上肢における腱移行は,1896年のDrobinkが指伸筋麻痺に対し長橈側手根伸筋を指伸筋へ,短橈側手根伸筋腱の1/2を長母指伸筋腱へ移行したのが最初であり,1899年にはFrankeが麻痺せる指伸筋へ手根屈筋を移行している.この術式は今なお広く橈骨神経麻痺の再建法として用いられている.その後数多くの腱移行術に関する論文がみられるようになり,過去1世紀の間に独創的な術式か次々と報告され,橈骨神経麻痺に対する再建術のみについてみてもその数は50数種を超える.中でも1,000例以上の症例に腱移行術を行ったLange,その論文The physiological method of tendon transferの中に腱移行術の基礎的な注意事項を述べたMayerらはこの手術手技の発展に大きく寄与し,またJones,steindler,Bunnellらはその豊富な臨床経験より腱移行術について詳細に論じ,上肢における腱移行術の基礎はこれら先人のたゆみない研究のもとに確立された.
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