The Japanese Journal of Physical Therapy and Occupational Therapy
Volume 15, Issue 10
(October 1981)
Japanese
English
特集 脳血管障害
劣位半球症候群のリハビリテーション上の問題点
Problems in Rehabilitation of the Patients with Lesions of the Minor Cerebral Hemisphere
平井 俊策
1
Shunsaku HIRAI
1
1群馬大学リハビリ医学研究施設
1Institute of Neurology and Rehabilitation, Gunma University School of Medicine.
pp.861-866
発行日 1981年10月15日
Published Date 1981/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518102497
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Ⅰ.大脳半球機能の左右差
左右対称のように見える大脳半球機能に,左右差があることをまず示唆したのは,失語という症状であった.左半球損傷に伴った失語の記載は,すでに古代ギリシャの医聖ヒポクラテスの医書にもみられるとのことであるが,言語機能が左半球に局在することを初めて明確にしたのはDax(1836年)であるとされている.やや遅れてBrocaは,今日Broca領域とよばれている左半球の脳領域が言葉を話す上で重要な役割りを果していることを明らかにし,“人は左半球で語る”という有名な言葉によって言語機能の左半球局在を世の中に広く紹介した.これらの報告以後,つまり19世紀後半より,言語機能における大脳半球機能の左右差が注目され活発に研究されるようになり,言語機能との関連において,大脳の半球優位性という概念が生まれ,優位半球(多くは左半球注))劣位半球(多くは右半球)という言葉も使われるようになった.20世紀に入ってからは,大脳半球優位性の問題は言語機能以外の高次神経機能の面にも拡大され,失行,失認あるいはGerstmann症候群などのいわゆる優位半球の症候群がいろいろと報告されるに至った.
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