The Japanese Journal of Physical Therapy and Occupational Therapy
Volume 15, Issue 10
(October 1981)
Japanese
English
特集 脳血管障害
チーム診療におけるリスク管理
Management of Risks in Rehabilitation Team Approach
三好 正堂
1
Seido MIYOSHI
1
1九州厚生年金病院
1Kyushu-Koseinenkin Hospital.
pp.849-850
発行日 1981年10月15日
Published Date 1981/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518102494
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はじめに
本誌の編集委員から「最近,PT,OTでリスク管理をあまり意識しない人が多いと聞いたので,広い視野から述べてほしい」という原稿依頼を受けた.これには筆者も思い当たるふしが再三あった.たとえば,過日のリハビリテーション・カンファレンスのとき,某学院のPT学生が筆者の考えと違うプログラムを立てているので質してみると,筆者の処方・禁忌事項を全く読んでいなかったのである.筆者はその非を厳しく咎めたが,当の学生にとって「処方をよく読むこと」と「正しい治療をすること」の関係など念頭になかったようで,別に悪意でやったことではなかった.PT指導者も学院教官も,処方をよく理解することを教えなかったようだが,こういうことが無意識でなされた点が深刻な問題であるように思う.
医療上のリスクというものは,単に医学知識の不足だけから起こるのではない.リハビリテーション(以下リハビリ)はチームワークによってなされるが,チーム診療を正しく理解し,各チームメンバーが専門職員として任務を自覚し協力しなければ,チームとは名ばかりの無責任集団になるであろうし,またたとえリスク管理の知識を学んでも,実際の患者ケアに役立つ叡智になりえず,論語読みの論語知らずに終わるであろう.
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