Japanese
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講座
運動生理学 3.運動と血液
Exercise Physiology 3. Exercise and Blood
朝比奈 一男
1
Kazuo ASAHINA
1
1中京大学体育学部
1Chukyo University, Dept. of Physical Education.
pp.823-827
発行日 1981年9月15日
Published Date 1981/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518102486
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Ⅰ.はじめに
言うまでもなく,血液にはいろいろ重要な生理的機能がある.これらを便宜上2つに大別できるであろう.
(1)O2運搬系の一環としての機能:いわば血液固有の機能である.身体の各組織器官にO2を供給し,それらの機能を可能にする役割である.もちろん筋活動を基盤とするスポーツなどあらゆる身体運動に血液は不可欠のものである.心拍出量,血管分布,血圧などの循環系機能,および,VO2max(最大酸素摂取量),O2債などを指標とする呼吸系機能と共に,血液は赤血球数やHb濃度などを通じてO2運搬能力の一環を荷っているわけである.
(2)他の組織器官の活動,とくに代謝に関連する機能:血液は自らの性状成分を変動しながら各組織器官の水分,pH,化学成分,温度など物理化学的条件を恒常に保つような調整機能をもっている.つまり血液の性状や成分は他の組織器官の活動状態を反映するわけである.身体運動の際には,骨格筋,心,肝など多くの組織器官が活動するのであるから,当然血液にはそれが反映される.もちろん運動の種類,強度,継続時間などによって反映される像は異なるであろう.以下これらのうち重要な事項を概説しよう.
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