今月の臨床 流産
診断
17.最近の診断法の進歩
伊吹 令人
1
,
鹿沼 達哉
1
Yoshito Ibuki
1
,
Tatsuya Kanuma
1
1群馬大学医学部産科婦人科
pp.56-58
発行日 1993年1月10日
Published Date 1993/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409901150
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妊娠22週未満の分娩を流産というが,臨床的には胎芽あるいは胎児のviabilityに左右される12週未満の早期流産と,12週から22週未満の後期流産とに分けて考えたほうがよい。流産の徴候はあるが妊娠の継続が期待できるものを切迫流産といい,流産の徴候には,下腹痛,性器出血,腰痛,下腹部膨満感などがある。全妊娠のうち流産徴候を示すものは,約20%であり,その内の半数,すなわち全妊娠の約10%が実際に流産となる。しかし,流産の原因には,子宮因子(子宮奇形,子宮筋腫,頸管無力症など),感染症,受精卵あるいは胎芽因子(染色体異常や致死的奇形など),および免疫学的因子などがあり,個々の症例について考えれば,これらの危険因子が存在する場合には流産率が高くなる。近年,超音波断層法の進歩により,流産徴候が出現する前に,流産となることが予測できることもまれではなくなってきている。したがって,流産の診断について述べる場合には,時系列的診断と病因論的診断に分けて考える必要がある。この項では,切迫流産から流産と確定診断するまでの時系列的診断の手順を,早期流産について述べる。
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