Japanese
English
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
はじめに
寒冷療法は温熱療法と同様に古くから臨床的に応用されてきた.しかし温熱療法も寒冷療法もごく経験的に用いられているもののようである.特に慢性関節リウマチ(以下RA と略)においては何故か温熱療法のみが好んで用いられている.その理由として血流の改善,鎮痛,鎮痙作用があげられる.また,温熱は感覚的にも快感があり,容易に受け入れられるからであろう.一方,寒冷療法においては感覚的に温熱よりも受け入れ難く,効果も温熱と大差なかったためであろう.近年,寒冷に関する臨床的応用が比較的に多くなり,また寒冷の生理学的効果も解明されるに至り,浮腫,疼痛,痙性などに対して盛んに用いられるようになってきた.RA に対する寒冷療法の局所的応用については,1969~1971年にかけてPegg1),Kirk2),Rembe3)らが行い効果があることを述べている.しかしこれらの実験で使用された温度はいずれも氷を用い0℃ 以上である.
我々も初期の頃はIce+NaCl(-180℃)4)を用いたが,その後Dry Ice+Ethanol(-65℃),LN2+L02(-180℃人工液体空気)とより低温を求めてその効果を報告してきた.それらの報告はいずれも使用される温度が低いほど効果があるとしう事実であった.しかし人工液体空気はその安全性おいて危倶があり3 年前より使用を中止した.そこで我々は最も安全な自然の空気を冷却する“極低温空気発生装置”を開発し,局所(図1)および全身(図2)の極低混療法(-150℃~-180℃)を現在実施し,著明な効果を得ている.
極低温療法は氷などの寒冷療法と異なって比較にならない刺激効果があり,従来の寒冷療法や温熱療法よりも優れた効果が得られている.現在リハビリ関係者において極低温療法の応用が一番興味ある問題であろう.今回,我々は極低調療法の応用と運動療法その効果とメカニズムについて報告する.
Copyright © 1981, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.