とびら
臨床における勉強
杉元 雅晴
1
1国立療養所石川病院
pp.805
発行日 1980年12月15日
Published Date 1980/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518102273
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これまで臨床の場にいても,より理論的仮説を吸収することに専念し最新の知識を吸収しようと努力してきた.確かにそのことは重要なことではあるが,それのみに終始してしまうと大切な臨床の現場での活動が,どうかするとおろそかになるのではなかろうか.もっと臨床の現場で得られた臨床活動論を集大成することに努力すべきではないかと思うようになった.なぜならば,リハビリテーション医学体系は,臨床医学の現場の中から,当然必要なこととして生れてきたのだからである.先輩諸兄が,「患者さん(障害者)と臨床現場が,私達の教師である」と言っていた言葉が,今更のように思い出されるのである.
最近にいたり,私はリハビリテーション理念をふまえた上で,患者を単に家族集団の一員としてだけでなく,長い生活史を持った人間としてとらえ,臨床的全体像を観察・評価し,かつ考察して行くことにより,私なりの立派な「理学療法症例集」が出来上るのではないかと思うようになった.もちろんそれには十分な基礎的知識の必要なことは言うまでもない.
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