とびら
精神科アフター・ケアと作業療法理論
上田 寛
1
1堺市・金岡中央病院
pp.447-448
発行日 1980年7月15日
Published Date 1980/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518102181
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私は長年アフター・ケアを行っているが,その理由は三つあった.一つは私自身の研究のためであったこと.次は院内のOTの続きとして単身社会に出る必要があり,それについて誰も手を貸さなかった事が切っ掛けであった.そして三つ目は,患者さん達が私に期待した事であった.病院とは関係なく単独で行わざるを得ない状況の中にあり,困難に直面することも多かった.経済的な問題,職業の問題,病気の再発の問題,男女問題,人間関係の問題,人権問題他数多い.それによっては裁判所,役所,警察,福祉,職安,事業所,保健所,そして公共団体等に出向かなければならない.私が労を惜しまない程患者さん達は社会生活を長く続けることができる.つまり再発防止につながった訳である.患者さん達も遠慮なく私を“お使い”になってくれる.夜中の二時でも三時でも「用事があるから!」と私の家に電話する,行くと「昼の仕事が気になります」「眠れないんです.暫くここに居って下さい」と言う.仕事の事,また自分で苦しんでいる事などをフトンの中で,枕元の私に訴え,その問題の処理方法を説明する私のことなど忘れたように眠ってしまう.
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