Japanese
English
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 参考文献 Reference
アフタ(aphtha)は,Dorlandの図解医学辞典(第33版)1)によると,“a small ulcer, such as the round lesion with a grayish exudate surrounded by a red halo characteristic of recurrent aphthous stomatitis”と定義されている.つまり,アフタとは小潰瘍であることが明記されている.一方,アフタ様潰瘍(aphthoid ulcer)は消化器病学,特に診断学でよく使われる用語であるが,必ずしも定義がはっきりしていない.そもそも前述のようにアフタという用語自体が潰瘍を意味するのであれば,“アフタ様潰瘍”という用語は再考の余地があると思われる2).
腸病変においてアフタという用語が使用され始めたのは,1976年に吉川ら3)が大腸内視鏡検査で口内のアフタ(aphtha)に似た病変が大腸粘膜にびまん性に多発している症例を“アフタ様大腸炎”と報告したことを嚆矢とする.ここでは小びらんが“アフタ様”であるとされた.その後,Crohn病(Crohn's disease ; CD)の初期病変としてアフタ様病変が着目され始めたのを皮切りに,諸家により盛んに“アフタ”という用語が用いられ始めたが,紅暈の有無や粘膜欠損の有無,粘膜欠損の大きさなどに関し統一された定義はなく,さらにアフタ様びらん,アフタ様潰瘍なる所見用語も存在し,アフタという用語の定義は一定していない.いずれ学会などで用語の定義を統一する必要があるが,以下においては,便宜上,アフタ,アフタ様潰瘍,アフタ様びらんは,ほぼ同じ所見を指し示すものとして一括して“アフタ様病変”と呼称し,その定義は,単なるびらんや潰瘍と区別するために“しばしば紅暈を伴う5mm以下の小潰瘍またはびらん”とする.
Copyright © 2022, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.