反省させられた症例
障害者に学ぶ社会復帰の現実
斎藤 博子
1
1リハビリテーションセンター鹿教湯病院
pp.220-221
発行日 1980年3月15日
Published Date 1980/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518102117
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リハビリテーション(以下リハと略す)の目標は障害者の社会復帰にあり,その復帰の形態がどのような転帰を辿るにせよゴールに至る過程の中で,リハチームの一員としての役割を考えた時,担当したそれぞれのケース・治療場面を思いおこす程に未熟さを痛感する.仮に治療士としての自分自身の資質を全く考えないにしても,大きな問題はその失敗に慣れ,臨床家としての目と意欲とを持続する事は困難な事であり,治療士にとって臨床経験は財産であっても,経験年数は必ずしも熟練を意味してはくれないからである.
リハの病理は地域におけるフォローアップと横山先生の言われる通り,リハ施設の恵まれた環境の中で考える社会復帰と,地域の障害者の実態・現実とには大きなギャップがあり,施設内リハが充分な社会性を持っているとはいい難い現状の中では,逆に地域の障害者に学ぶ事が多い.その反省を含めリハとは何か,治療士の役割とは……と考えさせられた手痛い症例を報告したい.
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