The Japanese Journal of Physical Therapy and Occupational Therapy
Volume 14, Issue 2
(February 1980)
Japanese
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はじめに
理学療法に関する保険点数について現時点でこれから,種々,論ずることは必らずしも本意でないことを先ず記しておきたい.何故なら理学療法に関する保険点数(診療報酬)の適用が,都道府県によって可成り差があること.「身体障害運動療法等の施設基準(昭和49年1月25日厚生省告示第16号)に言う「助手」の論議が取り沙汰されている時期であることからである.しかし,理学療法に関する保険点数は歴史的にみるとき,現行の理学療法に係わるいわゆる「身体障害運動療法」が,その前身とも言うべき「整形外科機能訓練」(器械器具を用いた機能訓練,水中機能訓練,温熱療法)から理学療法士の保険点数の上での唯一つの資格の裏付けとして置き換えられてきた点数であることを銘記しなければならない.
それまで細かく分類されていた点数の適応が,一気に「身体障害運動療法・簡単なもの」,「身体障害運動療法・複雑なもの」に集約されたのだから少なからず混乱もし,矛盾も感じたことは事実である.
とは言え,これ以外の保険点数については施設基準に適合すると都道府県知事が認めた保険医療機関であるなしにかかわらず,同じ扱い点数である.
例えば,脳卒中の後療法や脳性麻痺の場合,施設基準適合の保険医療機関―(Aと言う)では身体障害運動療法・複雑なもの,160点で,施設基準の認められていない保険医療機関―(Bと言う)では器械器具を用いた機能訓練40点,水中機能訓練50点,温熱療法25点,合計115点で点差はあるが,(B)も0点ではない.そしてその他にも点数請求の手段(項目)はあるのだから,それ程問題ではないと思う.
ここでむしろ問題になるのは,
①先にも記したように社会保険の審査が,都道府県など審査する機関によって差があり必らずしも画一化されていない(保険財政のうえで事情があるとも考えられる).
②請求する側も殆んど個々の判断で臨んでいる(こちらにも財政的な問題があると思われる).
③理学療法士自らにも保険点数に対する無関心型が意外に多い.例えば医療事務員まかせなどである.もっと自分たちの地位を点数の面から評価することを考えるべきではなかろうか.
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