書評
吉松和哉(東京大学講師)著―「精神分裂病患者の入院治療」―すべての治療スタッフのために
上村 安一郎
1
1紫雲会横浜病院
pp.688-689
発行日 1979年10月15日
Published Date 1979/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518102007
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このごろ中堅精神医学者の手になる“精神医療の実際”とでも言いたい書物が目につくようになった.実際というと何か学問的に低い次元でとらえられているようなひびきを感じるかも知れないが,精神医学は未だ決して確立したものではなく,臨床場面で患者との対決,言葉をかえると患者の些細な心の動きを大切にとらえて考えるという実際が精神医療の基礎だと思う.医学は医療の実際を解析することである.さて,精神医療の実際を説くためには,患者を診ることに余程熱心な学者でないとなし得られない.このたび,精神医療体系の一環のなかで,病院の現場にいる私達にとってもっとも大切な“分裂病者の入院治療”を拝読する機会を得た.
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