書評
「頭部外傷治療の実際―救急処置からリハビリテーションまで―」―九州大学講師 西村謙一著
倉本 進賢
1
1久留米大学
pp.578
発行日 1973年5月10日
Published Date 1973/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552102943
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頭部外傷に関する成書や論文は非常に多いが,急性期の処置,治療からリハビリテーションそして障害認定と社会復帰まで1人の患者の経過を追うように具体的に述べられた本はない.特に著者は無駄な理屈は抜きにして具体的な臨床症状を直視し,その時々における基本的な治療の原則をまず明確に述べ,そして実際のベッドサイドでの処置を詳細に具体的に記述している.本書全文を通じて簡潔,明快な筆の運びは読者をしてその1行1句にうなずかせるものがある.
本書は大学の研究室ではなく,社会の第一線病院の頭部外傷患者のベッドサイドで書かれたものである.それだから緊急の場合の処置や細かい注意,器具の取り扱いにいたるまで親切に書かれている.このちょっとした処置の1つ1つが,実際の頭部外傷患者の治療には非常に重要なものであり,一言にしていえば治療実践の書である.
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