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我が家の次男勇が痙直型両麻痺児と診断されたのは生後7ヵ月でした.発達が少し遅く,次のような動作が鈍いことに気づいたのは4,5ヵ月頃でした.子どもが本能的に手を出す哺乳びんに手をかけないこと,首の坐りが遅いこと,おもちゃを持つとすぐ離してしまうことなどいろいろありました.が,こういったことは早産による未熟児のせいだと思っていました.小児科でも同じ見方をされ,発見が遅れてしまいました.保健婦さんによりはじめて脳性麻痺である事を見つけられ,訓練の先生から脳性麻痺についていろいろ教えていただいたのは結局生後7ヵ月の終り頃でした.いろいろ話を聞いたり,家庭療育の本を読んだりしてみると勇の機能を少しでも回復してやれるのはやはり私を含む家族のものであると思いました.
薬や注射ではなおらない病気を1週間に1回だけ受ける先生の訓練だけに頼ることは出来ないと感じ,また先生からもそのようにご指導いただきました.そして家庭療育の基本として,健康な子どもが動作する過程を勇も少しずつ追っていけるよう,いろいろな動きの中で介助しながら日常生活を送ってきました.そんな中で一番うれしかったのは,一歳過ぎの頃,寝返りから投げだし坐りまでの連続動作が出来た事です.だから3歳になった今でもその考え方を基礎にした生活をしています.そのためにも2歳年上の兄の存在は機能的にも知能的にも勇にとって良い刺激になります.また,家の中は勇が動きやすいように空間を多く取っています.興味をもって行きたがる所,立位が出来る所―たとえば台所,鏡台の前,テレビの前,ベランダの手すりなどには危険な物を置かないようにしています.おもちゃの操作はなるべく立位の姿勢で出来るよう位置を考えています.
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